アンコンシャス・バイアスとは?
職場の事例9選や企業が行うべき対策・研修
「職場の雰囲気がぎこちない」
「人間関係の小さなすれ違いが積み重なっている気がする」
そんな悩みを抱える企業は少なくありません。
その背景には「誰もが無意識に持っている思い込み=アンコンシャス・バイアス」が潜んでいる可能性があります。
悪意はなくても、何気ない言葉や判断が相手を傷つけたり、評価の偏りを生んだりすることは、どの職場でも起こり得ます。
そして厄介なのは、本人が「自分にバイアスがある」と気づきにくいこと。
そのため、放置するとハラスメント、離職、コミュニケーション不全など、職場全体に深刻な影響を及ぼすことがあります。
本記事では、20年以上企業の研修と向き合ってきた研修教材の専門企業・アスパクリエイトの知見をもとに、
- 職場で起きやすいアンコンシャス・バイアスのリアルな事例
- 事例から見える問題点と改善のポイント
- 行動変容につながる4ステップの学び方
- 現場で実践しやすい対策・研修方法
をわかりやすく解説します。
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第2巻 アンコンシャス・バイアスとマイクロアグレッション基礎編(職場のコミュニケーション・スキル2)
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第2巻 アンコンシャス・バイアスとマイクロアグレッション 基礎編
アンコンシャス・バイアスとは何か
アンコンシャス・バイアスとは、自分の中にある「無意識の思い込み」や「認知のクセ」のことを指します。
脳は膨大な情報を瞬時に処理するために、経験や社会的な価値観をもとに「パターン化」して物事を判断します。
その結果として、本人が意識していなくても「こうに違いない」「普通はこうだ」という考えが生まれるのです。
例えば日常生活の中で、本人に悪意がなくても以下のようなイメージを持つことがあるでしょう。
- 女性は感情的だ
- シニアはITに弱い
- 外国人は日本語が話せない
問題は、その「思い込み」が態度や言動に現れた瞬間、相手には否定や排除、差別として伝わる可能性があること。
特に職場では、立場や権限の格差があるため、無意識の偏りが評価や働きやすさに直接影響します。
「気づいていないからこそ厄介」であり、誰にとっても身近な課題だと言えるでしょう。
【シーン別】アンコンシャス・バイアスの職場事例と改善のヒント
ここからは、実際の企業で起きやすいリアルな具体例を紹介していきます。あわせて改善のヒントも紹介するため、参考にしてください。
人事採用や評価・人材育成のシーンに潜むアンコンシャス・バイアスの職場事例
事例①年齢で判断される
ある若手社員が積極的に新規施策を提案したとします。しかし上司は「若いからまだ視野が狭いだろう」「経験不足だから無理だ」と感じ、提案を受け止めないまま流してしまいました。
若手社員の提案を「経験不足だから無理だろう」と受け止めてしまうケースです。シニア社員を「ITが苦手」と決めつけるのも同じ構造です。
これは 「年齢バイアス(年齢の固定観念)」 によるもの。年齢という属性を根拠に能力を過小評価してしまう典型例です。
【改善のヒント】
「年齢」ではなく「個人のスキル」に目を向けます。「彼の実績ベースで見るとどうだろうか?」と問い直すことが重要です。
事例②気の合う部下に高評価をつけてしまう
「大学の後輩だ」「趣味が同じだ」「考え方が似ている」・・・こうした親近感が無意識のうちに評価に影響することがあります。
これは 「類似性バイアス」 が原因です。
自分に似ている人を好意的に評価するという無意識の偏りが働いているのです。
【改善のヒント】
評価シートをつける際「相性の良さで点数を甘くしていないか?」と自問し、具体的な行動事実に基づいて評価する必要があります。
事例③大企業出身者を過大評価してしまう
中途採用者の面談で「大手企業で働いていたなら優秀に違いない」という期待を持つケースがあります。
しかし、企業文化・業務内容は会社ごとに大きく異なり、前職での経験がそのまま自社で発揮されるとは限りません。
「大手出身=優秀」という思い込みが評価に影響するケースです。
これは 「ハロー効果」 が影響しています。
一つの印象(経歴)が、その人の能力全体を正しく見えなくさせます。
【改善のヒント】
「前の会社で何をしたか」ではなく「自社の環境で何ができそうか」を具体的に質問し、再現性を確認します。
事例④育児中・時短勤務の状況を決めつける
育児や介護で時短勤務をしている社員に対し、好意から「忙しいだろうから負荷の高い仕事は避けよう」「研修の参加は難しいだろう」と判断してしまうことがあります。
これは 「慈悲的差別」 の事例です。
良かれと思って先回りして配慮する行動が、結果的に本人のキャリアアップの機会を奪ってしまう典型例です。
【改善のヒント】
勝手に配慮するのではなく「研修や出張についてどう考えているか」「どのようなサポートが必要か」などについて本人の意思を確認し、話し合います。
職場全般のコミュニケーションの中で生まれるアンコンシャス・バイアスの職場事例
事例⑤「お茶出しは女性の役目」という固定観念がある
会議が始まると、無意識のうちに女性社員に「お茶お願いできますか?」と目が向いてしまうことがありませんか。
女性社員に家事的な業務を求めてしまうケースです。「女性の上司には抵抗がある」と感じる心理も、無意識の思い込みの一種です。
これは 「ジェンダーバイアス」 によるもの。
性別に基づいた役割固定が無意識に行動へ現れています。
【改善のヒント】
「当番制にする」「立候補制にする」など、性別に依存しないルールを設けます。
性別によるアンコンシャス・バイアスの具体例は、以下にもまとめられていますので、参考にしてください。
参考:内閣府男女共同参画局|性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)事例集
事例⑥「新人の意見は浅い」という思い込みがある
意見を求められた新人が勇気を出して発言しても「まだ何も分かっていないから」「若手は経験不足なのに」と受け流されることがあります。
これは 「アインシュテルング効果」 によるものです。
実際には現場の課題に一番敏感なのは新人であることも多いのですが、こうした思い込みがあることで改善の芽をつぶしてしまうことがあります。
【改善のヒント】
「新人だから」ではなく「その意見の内容」に耳を傾け「なぜそう思ったの?」と深掘りしてみましょう。
事例⑦「力仕事は男性がやるべき」と決めつける
荷物運びや設営などの「筋力を必要とする仕事」を依頼する際、男性に視線が向かいがちです。しかしその場に女性がいるとして、彼女たちにもできる仕事かもしれません。
これは 「ステレオタイプバイアス」 の一種で「男性=力が強い」という社会的イメージが判断を左右しています。
【改善のヒント】
性別で指名せず「手伝える人」「力仕事が得意な人」を募るようにします。
管理職に関わる「権力バイアス」の職場事例
事例⑧肩書や地位のある人の言動を必要以上に正しいと思いこむ
権力バイアスがあると、「部長の言うことだから間違いない」などと、地位や権威のある人の見解に盲従してしまいます。同時に地位の低い人の意見は無視されます。
これは 「権威バイアス」 の影響で「立場の強い人の意見が正しい」 と無意識に感じてしまう傾向が働いているためです。
【改善のヒント】
まず自分の思い込みを疑う癖をつけることが大切です。その上で誰の発言かではなく、どんな内容かを考える癖をつけましょう。一つの情報源からだけでなく、複数の情報を比較するのもお勧めです。
事例⑨実際よりも良く見えることによる過大評価
「資格を持っている人は独立すれば成功できる」という考えは、「生存者バイアス」の典型です。なぜなら失敗した人の例が検証の対象から外れているからです。ビジネスの現場では成功者に学ぶことが多いため、このバイアスは非常に身近な問題かもしれません。
生存者バイアスは、成功した事例だけを見て、失敗した多数の背景を無視してしまう心理のことを言います。具体例としては、従業員満足度調査の結果のみで対策を練ること(退職者の声は反映されない)、口コミを過大評価すること(投稿しなかった人の意見は分からない)などが挙げられます。
リスクとしては、失敗例が検証されずに実際より良く見えてしまうため、対策を誤る可能性があります。
【改善のヒント】
成功体験を絶対視せず「失敗例はなかったのか」も確認しましょう。立場の異なる意見にも耳を傾けることを忘れずに。
アンコンシャス・バイアスの職場事例から見えるリスク

アンコンシャス・バイアスは、日常の些細な言動の中で気づかないうちに積み重なります。
そのまま放置すると、以下のように職場全体の信頼関係や業務にまで影響を及ぼす可能性があるのです。
人間関係の悪化と心理的安全性の低下
アンコンシャス・バイアスが言語化されると、何気ない一言が相手を傷つける「マイクロアグレッション」につながり、否定されている感覚を与えることがあります。
こうした積み重ねは心理的距離を広げ、意見を言いづらい雰囲気を作ります。それは心理的安全性が損なわれることにつながります。
心理的安全性が下がると、不具合に気付いていても誰も声を上げないことから、問題発見や改善提案が遅れやすくなります。その結果重大な問題が起きるリスクも生じます。
不公平な評価・ハラスメントにつながる組織リスク
無意識の思い込みは、人事評価や役割分担にも影響します。
「この人はこうに違いない」といった決めつけは、公平性を損なう原因です。権限を持つ管理職が偏った判断をすると、意図せずハラスメントの温床になることもあります。
不公平感が続くと「正当に評価されていない」という不満が高まり、エンゲイジメント低下や離職につながります。
人手不足の時代に、組織にとって大きな損失になるでしょう。
多様性の喪失による生産性・成長の停滞
「この人には難しいだろう」「向いていないはず」といった思い込みは、メンバーのやる気を削ぐことにつながります。その結果、新しいアイデアが出にくくなったり、変化への対応が難しくなるなど、職場の生産性や創造性が低下していきます。
多様性が損なわれると、改善提案が減り、変化に対応しづらい組織になります。生産性や競争力の低下につながり、長期的な成長が止まる可能性があるでしょう。
アンコンシャス・バイアスの職場事例への対処法
アンコンシャス・バイアスは誰にでもあるもので、なくすことはできませんが、自分の持つアンコンシャス・バイアスに「気づき」、「扱い方」を変えることで、職場の対話や関係性は大きく変わります。
以下で、個人と組織の両面で取り組める改善の工夫を紹介しましょう。
個人が取り組める工夫
アンコンシャス・バイアスへの対処は、まず自分自身を振り返ることから始まります。
「普通は…」「〜すべき」といった言葉が浮かんだときは、それが事実なのか、思い込みなのか一度立ち止まって確認してください。
次に、自分の発言が相手にどう受け取られるか想像することが大切です。性別・年齢・立場を入れ替えて考えると、どの点に自分の偏りがあったのか気づきやすくなります。
実際の対話では、相手の反応を丁寧に見ながら言動を調整することも有効です。
表情や声のトーンから「伝わったか」「不快に感じていないか」を確かめることで、誤解を防ぎやすくなるでしょう。
アンコンシャス・バイアスは誰もが持っているため、なくすことはできません。
だからこそ、
- 思い込みによる判断が無いか振り返る
- 気づいたら言動を修正する
といった「問い直す習慣」が、健全なコミュニケーションづくりにつながります。
参考:アンコンシャス・バイアスを減らす3つのポイント!誰もが活躍できる社会に | 政府広報オンライン
参考:内閣府男女共同参画局|UNCONSCIOUS BIAS
組織として取り組むべき対策
職場のアンコンシャス・バイアスをなくすには、個人の努力だけでは限界があります。
組織文化や制度がバイアスを助長してしまうこともあるため、組織としての働きかけが重要です。
企業や組織では、チェックリストで思い込みを点検したり、事例を使った学習を実施したりして、認知の偏りに気づく取り組みを進めていきましょう。
このような「気づきの場」があると、日常のコミュニケーションや評価の場面でも偏りを発見しやすくなり、判断の質が向上します。
そのため、チェックシートや動画教材を使ったケース学習の導入は、組織的な改善にとって効果的です。
特に動画教材は、場面を疑似体験しながら学べるため、アンコンシャス・バイアスへの気づきを促す手法として活用が広がっています。
参考:アンコンシャス・バイアスをご存じですか | 静岡県富士市
参考:厚生労働省|チェックシート「アンコンシャス・バイアスについて考えてみよう!」
▼専門家監修のもと開発したアスパクリエイトの研修動画教材
https://www.asp-create.com/catalogues/view/1690/
職場のアンコンシャス・バイアスを行動変容につなげる4ステップ

アンコンシャス・バイアスは、知識を学んだだけでは改善しません。
「知る → 気づく → 考える → 行動する」の4ステップを踏むことで、職場での言動が変わり始めます。
ステップ① 知る:メカニズムを理解する
最初の段階では、バイアスを「悪」ではなく、脳の仕組みから自然に生まれるものとして理解することが重要です。
この認知が防御反応を和らげ「自分にも関係がある」と思える関心期へ進みやすくなります。
また、現状のまま放置した場合のリスクや、改善するメリットを明確に示すことで、行動に向かう意欲が生まれます。
ステップ② 気づく:事例や映像で「自分ごと化」する
概念を学ぶだけでは、自分の行動と結びつきにくいものです。
具体的な職場シーン(映像、ケース、ロールプレイ)を使うことで「自分も似た言動をしているかもしれない」「この受け取り方、言われてみれば確かに…」といった自分ごと化による気づきが生まれます。
ステップ③ 考える:多様な意見を知り視点を広げる
同じ場面でも、受け取り方は人によって大きく異なります。
対話や意見交換を通じて自分と他者の受け取り方の違いに触れることで「自分の見方がすべてではない」と認識でき、バイアスはほぐれやすくなります。
他者とディスカッションできるよう、ワークショップなどを実施するとよいでしょう。
ステップ④ 行動する:現場で使えるスキルへ落とす
最後は、具体的な行動へ移す段階です。
「決めつけを避ける言い回し」「丁寧に確認するコミュニケーション」など、すぐ実践できる小さな行動に落とし込むことが行動定着の鍵になります。
行動は続けていくことで、習慣として定着します。振り返りや言語化を行い、行動をチーム文化として根づかせていきましょう。
職場のアンコンシャス・バイアスを事例理解だけで終わらせないために
アンコンシャス・バイアスは職場のいたる場面で生じます。重要なのは「バイアスをなくす」ことではなく「気づきをもとに関係性を損なわない行動へ変えていく」こと。
そのためには、
- リアルな事例で自分の行動を客観視する
- 他者の視点を知り、多角的に考える
- 日常の言動を改善する
という学びの流れが欠かせません。
株式会社アスパクリエイトの研修動画教材は、この流れを無理なく実現できるよう、職場で起きやすいシーンを事例ドラマで再現し、自分ごと化しやすい構成になっています。
- 多忙でも取り組みやすい動画形式
- ケース理解 → 気づき → 行動につながる設計
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