ワーク・エンゲイジメントとは?
ポジティブ・メンタルヘルスを実現する9施策
「従業員の定着率や生産性低下に悩んでいる」
「従業員の働きがいを高め、組織を活性化させたい」
そう考えている企業は多いのではないでしょうか。
近年、経済産業省や厚生労働省も推奨する「ワーク・エンゲイジメント」は、人的資本経営の重要な指標として注目されています。
本記事では、企業の人材育成を支援し、専門家監修の研修教材を提供するアスパクリエイトが、ワーク・エンゲイジメントの概念や効果、実践的な向上策を解説します。
最後までお読みいただくことで、自社に合った具体的なアクションを踏み出せるようになるでしょう。
▼アスパクリエイトのワーク・エンゲイジメントに関する研修教材
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なぜ今「ワーク・エンゲイジメント」が重要なのか?
近年、企業の成長において「お金」や「モノ」よりも人の力、つまり人的資本が重視されています。
人をコストではなく価値を生み出す資産として捉える「人的資本経営」が広がる中で、従業員の働きがいや心の健康は企業競争力の重要な要素になっています。
経済産業省が公表した 『人材版伊藤レポート2.0』 でも、次の内容が示されています。
- 企業価値を高めるには、経営戦略と人材戦略を連動させることが欠かせない
- そのために、社員のエンゲイジメント(仕事への意欲・前向きさ)を定期的に把握し、改善することが求められる
いま企業に求められているのは、従業員が誇りと熱意を持って働ける状態、つまりワーク・エンゲイジメントを高め、その状態を測定しながら経営に活かすことです。
参考:経済産業省|人的資本経営の実現に向けた検討会 報告書 ~ 人材版伊藤レポート2.0~ 令和4年5月
メンタルヘルス対策の新しいアプローチ「ポジティブ・メンタルヘルス」
従来のメンタルヘルス対策は「不調者を減らす」「不調に気づき、対処する」というネガティブケアが中心でした。主に、医学的な予防の視点から論じられてきました。
一方、ワーク・エンゲイジメントは、活気に満ちた働き方を増やす「ポジティブ・メンタルヘルス」という新しい心理学的なアプローチです。
ワーク・エンゲイジメントが高い状態はストレスへの耐性を高め、バーン・アウト(燃え尽き症候群)を防ぐ効果も研究で示されています。
厚生労働省も、従来のストレスチェックとあわせて、働きがい(ワーク・エンゲイジメント)を高める取り組みを推奨しています。
参考:厚生労働省|働きがいのある職場づくりのため、エンゲージメント向上に取り組みましょう!
従業員エンゲージメントや満足度との違い
ワーク・エンゲイジメントを理解するために、類似する言葉との違いを明確にしておきましょう。下記の概念は焦点と特徴が異なります。
| 概念 | 焦点 | 特徴 |
|---|---|---|
| ワーク・エンゲイジメント | 個人と「仕事」の関係に焦点を当てた、心理学的な概念 | 仕事そのものに意欲的で、前向きに取り組んでいる状態 |
| 従業員エンゲイジメント | 個人と「組織」の関係に焦点を当てた経営的な概念 | 会社への信頼や愛着、貢献意欲の高さ |
| 従業員満足度 | 待遇や職場環境に対する満足感 | 給与や福利厚生などの条件が中心で、必ずしも仕事への意欲や成果とは結びつかないことが多い |
ワーク・エンゲイジメントは「仕事そのものへの熱意」、従業員エンゲージメントは「組織への思い」、従業員満足度は「与えられるものへの評価」といえるでしょうか。
この3つは重なりながらも、向いている方向が異なります。
ワーク・エンゲイジメントに関する関連概念
さらにワーク・エンゲイジメントを理解するには、似た概念との違いを知ることが大切です。
仕事への「活動水準(どのように取り組んでいるか)」と「態度・認知(どう感じているか)」の2軸で整理すると、次の4つの状態に分類できます。

上の分類のとおり、「活動水準が高く、仕事に前向きな感情を持っている」状態が、理想的な状態であるワーク・エンゲイジメントです。
ワーク・エンゲイジメントの基本を理解する3つの構成要素は?
ワーク・エンゲイジメントが高い人は、仕事に対して前向きで充実した心理状態にあります。
この概念は、オランダ・ユトレヒト大学のシャウフェリ教授らによって提唱され「活力」「熱意」「没頭」という3つの要素で構成されています。
活力
「活力」とは、仕事からエネルギーを得て、心身ともにいきいきと働ける状態です。困難な問題に直面しても、粘り強く取り組むことができます。
例:「朝、仕事に行くのが楽しみだ」「仕事をしていると活力がみなぎる」
熱意
「熱意」とは、自分の仕事に意義や誇り、やりがいを強く感じている状態です。自分の業務が価値あるものにつながっていると感じます。
例:「自分の仕事は社会の役に立っている」「この仕事に誇りを持っている」
没頭
「没頭」とは、仕事に夢中になり、時間が経つのを忘れるほど幸福感を伴って集中している状態です。楽しみながら仕事に取り組めている心理状態を指します。
例:「仕事に没頭していると、時間が経つのがあっという間だ」
この3つがそろったとき、人は仕事を通じて充実感を得られ、より生産的で健康的に働けるようになります。
ワーク・エンゲイジメント向上がもたらす5つの経営メリットは?

ワーク・エンゲイジメントの向上は、従業員の仕事満足感の向上や成長・キャリアの加速だけでなく、企業の経営指標にも良い影響を与えることが研究で示唆されています。
ここでは代表的な5つのメリットをご紹介します。
| 効果 | 内容 |
|---|---|
| 生産性の向上 | 従業員が活力と集中力を保ち、仕事に深く没頭できることで、アウトプットの質と量が安定して高まる。 |
| 離職率の低下 | 仕事への満足感や帰属意識が高まり、転職意向が下がる。採用・育成コストの削減にもつながる。 |
| イノベーションの促進 | 挑戦や改善提案が出やすくなり、新しい価値創出が進む。心理的安全性が高まり、創造的行動が増える。 |
| 業績の安定化 | 一過性のモチベーションに左右されず、持続的なパフォーマンスを維持できる。 |
| 企業ブランドの強化 | エンゲイジメントが高い職場は、採用力や顧客からの評価にも好影響を与える。 |
ここまで読んで、ワーク・エンゲイジメントを高めることの重要性を実感された方も多いのではないでしょうか。
アスパクリエイトでは、企業の現場で実践できる「ワーク・エンゲイジメント向上研修」教材をご用意しています。
理論だけでなく、管理職やチームでの具体的なアクションにつなげる内容で、受講者からも好評です。
ぜひサンプル動画でご覧ください。
▼第1巻「ジョブ・クラフティングで進めるワーク・エンゲイジメント向上」
https://www.youtube.com/watch?v=REzl8GbwNPw
▼第2巻「管理職がいきいき働くためのセルフケア」
https://www.youtube.com/watch?v=rv7GDQxbRaE
▼第3巻「ワーク・エンゲイジメント向上のためのラインによるケア」
https://youtu.be/NDxQMS2E-tM?si=5e6L2JT_IOGZZuYg
施策の根拠となる「JD-Rモデル」とは?
ワーク・エンゲイジメントを高める理論的な基盤が「JD-R(Job Demands–Resources)モデル」です。
仕事の状態を「仕事の要求度」と「資源(リソース)」の2軸で捉えます。両者のバランスによって働きやすさや意欲が変わります。
| 要素 | 厚生労働省による定義 | 代表例 |
|---|---|---|
| 仕事の要求度 | 継続的に身体的・心理的努力を必要とする仕事の側面。要求度が高すぎるとバーン・アウトにつながる。 | 仕事のプレッシャー、対人業務による情緒的負担、精神的負担、肉体的負担 |
| 仕事の資源 | 仕事の要求度を軽減し、目標達成や成長を促す職場環境の要因。資源が豊富だと、要求度が高くてもワーク・エンゲイジメントが高まる。 | 裁量性・コントロール、仕事のパフォーマンスに対するフィードバック、上司によるコーチング、社会的な支援、正当な評価など |
| 個人の資源 | 自分の環境できる能力や、レジリエンスに関連した肯定的な自己評。個人の資源が高い人は、要求度が高くてもストレスに耐えやすく、モチベーションを維持しやすい。 | 自己効力感、楽観性、レジリエンス、希望、自尊心 |
重要なことは「仕事の要求度」を完全に取り除くことをめざすのではなく、それを乗り越えるための「仕事の資源」と「個人の資源」を充実させることです。
両者を整えることで、従業員はストレスに強く、持続的に高いワーク・エンゲイジメントを保てるようになります。
【今日から実践できる】ワーク・エンゲイジメントを高める9つの施策とは?
ワーク・エンゲイジメントを高めるには、JD-Rモデルに基づき「仕事の資源」を増やすことが効果的です。
ここでは、企業で実践できる9つの具体的な施策を紹介します。
- 心理的安全性の確保と良好な人間関係の構築:安心して発言でき、助け合えるチームは「同僚の支援」という資源を育みます。
- ジョブ・クラフティング:社員自らが主体的に仕事への認知や行動を変化させる取り組みです。そのうちのひとつの「人間関係クラフティング」という概念では、仕事で関わる周囲の人への働きかけを工夫し、仕事の資源づくりにつなげます。
- 成長機会の提供とキャリア自律の支援:「この会社で成長できる」という将来への希望は、重要な資源です。
- 適切な権限移譲と裁量権の付与:仕事の進め方を本人に任せることで、「仕事の自律性」という資源が高まります。
- 公正な評価制度と質の高いフィードバック:納得感のある評価と成長につながる「フィードバック」は、重要な資源です。
- 上司による支援的なマネジメント:「上司の支援」は最も影響力の大きい資源の一つ。1on1ミーティングの質の向上が鍵です。
- 企業理念・ビジョンの浸透:自分の仕事が会社の目標につながっている感覚は「仕事の意義」という資源になります。
- 休息:日々の生活や週末には、意識的に心と体を休める時間を確保することは大切です。しっかりとリラックスすることで、メンタルヘルスを守るための土台が築かれます。
- ワークライフバランスを尊重する制度設計:仕事と私生活の両立支援は、活力を維持するための基盤です。
単独で行うよりも、自社の課題に合わせて複合的に組み合わせることが効果的です。
これらの施策を現場で実践するには、特に管理職の意識とスキルが欠かせません。
アスパクリエイトでは、管理職に向けた研修教材も提供しています。まずはサンプル動画で内容をご確認ください。
▼第2巻「管理職がいきいき働くためのセルフケア」
https://www.youtube.com/watch?v=rv7GDQxbRaE
ワーク・エンゲイジメントを可視化する方法は?

ワーク・エンゲイジメントを高める取り組みの効果を確かめるには、調査・測定による可視化が効果的です。
代表的な指標として、次の2つがよく使われます。
① UWES(ユトレヒト・ワーク・エンゲージメント尺度)
UWESは、オランダ・ユトレヒト大学のシャウフェリ教授らが開発した、ワーク・エンゲイジメントを測定する、国際的な学術的な調査方法です。
ワーク・エンゲイジメントの3要素「活力・熱意・没頭」を定量的に把握できます。
質問項目例
- 仕事に活力を感じる
- 仕事に誇りを持っている
- 仕事に没頭している
ただし、UWESは学術的な尺度であり、企業が導入しているとは限りません。
② 厚生労働省「職業性ストレス簡易調査票」
厚生労働省「職業性ストレス簡易調査票」は、ストレスチェック制度で活用される公的ツールで、ストレス要因に加えて、上司や同僚の支援などポジティブ要素も測定できます。
- UWES:仕事への前向きな心理状態(活力・熱意・没頭)を測定
- ストレスチェック:職場環境や支援体制の課題を把握
ネガティブ要因の把握(ストレス対策)と、ポジティブ要因の向上(エンゲイジメント促進)を両輪で進めることが、組織改善に効果的です。
ワーク・エンゲイジメント向上施策の成功パターンは?
ここでは多くの企業で応用できる成功の「型」として、厚生労働省の報告事例などを参考に2つのパターンをご紹介します。
パターン1【IT・サービス業など】コミュニケーションが鍵となる組織
コミュニケーションが鍵となる職場でよくある課題の背景には、事業の急成長に伴うコミュニケーションの希薄化や理念の形骸化などがあります。
これらの職場では、まず現状を可視化するためにエンゲイジメントサーベイなどの定期調査を実施し、課題領域を特定します。
並行して、以下のような施策を取り入れていくのが効果的でしょう。
- 「同僚の支援」強化:感謝を伝え合うピアボーナス制度やサンクスカードの導入。
- 「上司の支援」強化:管理職向けの1on1研修を実施し、対話の質を向上。
- 「仕事の意義」強化:経営層が参加するビジョン共有会を定期的に開催。
上記を通して、仕事の意義や自律性といった「仕事の資源」を増やすことが向上のポイントになります。
パターン2【製造業など】現場の主体性が鍵となる組織
製造業など現場が鍵になる職場でよくある課題の背景には、現場の自主性が低く、トップダウンの指示待ちになりがちで、活動が停滞していることが考えられます。
有効な施策の例は以下のとおりです。
- 「仕事の自律性」向上:現場の裁量で改善活動を行える小集団活動を活性化。
- 「フィードバック」強化:優れた改善提案を表彰し、成功体験を共有する制度を導入。
現場主導の取り組みにより、エンゲージメントの向上が期待できます。
厚生労働省HPにも、ワーク・エンゲイジメントに関する各種企業の事例が掲載されています。自社の状況に近いものから、施策のヒントを得てください。
ワーク・エンゲイジメントの向上をめざして効果的な研修を
これまで見てきたように、ワーク・エンゲイジメントは人的資本経営とポジティブメンタルヘルスの両面から、今の時代に欠かせない取り組みです。
活力・熱意・没頭の3要素がそろうことで、従業員は仕事に誇りを持ち、組織全体の生産性や定着率も向上します。
そのためには、管理職の意識改革や現場改善をサポートする実践的な取組みが欠かせません。
こうした組織づくりを支援する研修教材を提供しているのが、株式会社アスパクリエイトです。
アスパクリエイトのメンタルヘルス研修教材は、厚生労働省が推進する「4つのヘルスケア」の考え方に基づいて設計されています。
- セルフケア:労働者自身が、自分のストレスに気づき、予防対処する力を養う
- ラインによるケア:管理職が、職場環境を把握・改善したり、部下の相談に対応する
- 事業場内産業保健スタッフ等によるケア:産業医や保健師、人事労務管理スタッフ等が、労働者・管理職の支援をしたり、メンタルヘルス対策の企画立案をする
- 事業場外資源によるケア:会社以外の専門的な機関や専門家を活用し、情報提供や助言を受ける
アスパクリエイトの研修教材では、特に「自分で自分のケアをする力」と「管理職によって行われるケア」の両輪を強化することに重点を置いており、ワーク・エンゲイジメント向上に直結する実践的プログラムとなっています。
| 1. 幅広い事業展開 | 研修用映像教材の企画・制作・販売、セミナー開催、e-ラーニング事業など、研修業務全般にわたる多様なサービスを提供。 |
|---|---|
| 2. 豊富な取引実績 | 官公庁、地方自治体、大企業、団体、大学など、幅広い分野の顧客と取引している。 特に、中央省庁や都道府県庁、一部上場企業との取引実績は、同社の信頼性と専門性を示す。 |
| 3. 長年の経験 | 2002年の設立以来、20年以上にわたり事業を展開しており、特に研修用動画分野での豊富な経験と知見を蓄積。 |
アスパクリエイトの研修教材は、理論から実践まで体系的に学べる内容で、管理職育成や職場改善の一歩をサポート。
受講者からも「ポジティブなメンタルヘルス教材を探していた」「仕事の進め方に関係すると、受講者に関心をもってもらいやすい」と好評です。自社に合った取り組みを始める第一歩として、ぜひ教材の詳細をご覧ください。
▼アスパクリエイト|ワーク・エンゲイジメント研修教材はこちら
https://www.asp-create.com/catalogues