ハラスメント研修は義務化?罰則は?【2025年最新】
企業の4つの必須措置と効果的な実施方法を解説
					 
    「ハラスメント研修って義務化されているの?実施しない場合、罰則はあるの?」
    
「ハラスメント研修って、どんな研修を行えばいいのだろう」
事業主や人事担当者の方なら、気になる点ではないでしょうか。
近年、改正労働施策総合推進法の施行により、大企業だけでなく中小企業にもハラスメント防止措置が義務化されました。
とはいえ、研修自体は法律で直接定められてはいません。それでも、防止措置を適切に行うためには研修が最も有効であり、実質的には必須といえるのです。
本記事では、厚生労働省のガイドラインや最新の法改正をふまえ、20年以上研修教材を手がけてきた専門業者の視点から、企業が押さえるべきポイントをわかりやすく解説します。
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パワーハラスメント - パワハラハラスメント研修とは?何をするの?
 
ハラスメント研修とは、パワハラ・セクハラ・マタハラといった、職場におけるハラスメントを正しく理解し、防止するための取り組みです。
厚生労働省は、パワハラについて「①優越的な関係を背景とした言動が、②業務上必要かつ相当な範囲を超え、③労働者の就業環境を害するもの」と定義しています。セクハラやマタハラについても同様に定義を明確にし、ガイドラインを作成し、事業主が対応すべき事柄を明示して防止措置を義務づけています。
実際の研修では、法令や定義の学習に加え、事例紹介やロールプレイを通じて「自分も無意識に加害者になっていないか」を振り返る機会を提供します。
これにより、加害者・被害者双方の意識が高まり、職場全体の健全化につながるのです。
つまり、ハラスメント研修とは単なる知識習得ではなく、正しい理解と意識改革を促すことで、安心して働ける職場環境をつくるための実践的な手段といえます。
ハラスメントの中でも、特にセクハラやマタハラ研修のニーズは強いものです。
具体的な内容や実施方法については、[セクハラ研修の記事]で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
参考:
厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」
厚生労働省「職場におけるハラスメント」対策パンフレット 2024(令和6)
なぜハラスメント研修が「実質義務」といえるの?
ハラスメント研修の実施が「実質的な義務」と言える背景には、下記の3つの理由が挙げられます。
1.法律で「防止措置」そのものが義務化されているから
労働施策総合推進法は、2020年6月に大きな法改正があり、大企業は2020年6月から、そして中小企業も2022年4月から、パワーハラスメントに関する防止措置を講じることが全面的に義務化されました。
この措置の中には、パワーハラスメントの内容や方針を「労働者に周知・啓発すること」が明確に含まれています。
研修は、この周知・啓発義務を果たすための最も確実な方法なのです。
セクシュアルハラスメント(セクハラ)については男女雇用機会均等法で、マタハラについては男女雇用機会均等法、育児・介護休業法で、パワハラ同様に事業主による防止のための周知・啓発が義務付けられています。
2.罰則はなくとも「行政指導」や「企業名公表」のリスクがあるから
現行法では、防止措置を怠ったことに対する直接的な罰則(罰金など)は規定されていません。しかし、それは「何もしなくてよい」という意味ではありません。
パワハラ事案が発生した際に、企業が適切な措置を講じていなかったと判断されれば、行政による助言・指導、さらには勧告の対象となります。
そして、その勧告に従わない場合、企業名が公表される可能性があります。
また社内で解決することができず訴訟となった場合、適切に研修などを行っていると見なされなければ、パワハラを防止するために事業主の方針等を周知・啓発をする義務を怠ったとして、事業主の責任が問われる可能性もあります。
或いは敗訴して、「〇〇会社事件」と言われて会社の不名誉が広まる可能性もあるのです。
これは、企業の社会的信用を大きく損なう事態につながるでしょう。
3. 2025年以降対策すべきハラスメントの範囲が拡大するから
企業のハラスメント対策は、パワハラ・セクハラ・マタハラだけにとどまりません。
2025年6月の改正労働施策推進法の公布により、顧客等からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)や、就活生等に対するハラスメント(就活ハラスメント)防止も、新たに企業の措置義務の対象となりました。
企業が対策すべき範囲は年々広がっています。
目先の対応だけでは不十分で、会社全体でハラスメントへの理解を深める「研修」が不可欠となるのです。
ハラスメントについて義務化された4つの措置と研修の役割とは?
 
厚生労働省のガイドライン(指針)では、企業がハラスメントに対して講じるべき措置として、大きく4つの柱が示されています。
これらすべてにおいて、研修は重要な役割を果たすのです。
1.方針の明確化と周知・啓発
企業は、ハラスメントを許さない方針を明確に示し、就業規則や社内規程に盛り込む必要があります。
しかし、規程を作るだけでは不十分です。その内容を全従業員に伝え、理解させなければ意味がありません。
この「周知・啓発」という重要なプロセスの中核を担うのが研修です。
なぜその行為が許されないのか、どのような言動がハラスメントに該当するのかを具体例とともに示すことで、従業員一人ひとりの意識に深く浸透します。
また、ポスターや社内報、イントラネットを活用して継続的に周知することも有効とされています。
社内周知に有効なポスターやリーフレットなどのひな形は、以下より無料でダウンロード可能ですので、ご活用ください。
明るい職場応援団(厚生労働省委託サイト)「社内でハラスメント発生! 人事担当の方」ハラスメント関係資料ダウンロードコーナー
2.相談体制の整備・周知
次に、従業員が安心してハラスメントに関する相談ができる体制を整えることが求められます。
まずは相談窓口を設置し、その存在を従業員に広く知らせることが第一歩です。
ここでも研修が重要な役割を果たします。
相談対応者には、相談者のプライバシーを守りながら、真摯に対応するための専門的なスキルが求められます。
また、従業員が「相談しても不利益を受けない」「きちんと聞いて対応してもらえる」と感じられる状態を築くことで、相談窓口が形骸化するのを防ぎます。
このように、相談体制の整備にあわせて、相談対応者のスキルアップや従業員の心理的安全性を高める研修実施が求められているのです。
3.事後の迅速かつ適切な対応
万が一、ハラスメント事案が発生してしまった場合、企業には迅速かつ適切な対応をすることが求められています。
ハラスメントの種類に拠って対応は異なりますが、相談を受けること、被害者の保護、事実関係の適正な調査、加害者に対しては社内のルールに則った適切な措置などを講じる必要があります。
特に管理職は被害現場の近くにいる可能性が高く、インシデント(事故につながりうる問題)発生時の初期対応を誤ると、問題をさらに深刻化させかねません。
管理職向けの研修で、具体的な事例に基づいた対応フローをシミュレーションしておくことが、組織全体のリスク管理に直結します。
4.併せて講ずべき措置(プライバシーの保護、不利益取扱いをしないことなど)
最後に、相談者や協力者、そして行為者とされる人物も含め、関係者全員のプライバシー保護を徹底することが求められます。
また、被害者への二次加害はもちろん許されることではありませんし、相談したことや調査に協力したことを理由とした解雇や降格といった不利益な取り扱いをすることも固く禁じられています。
(二次加害:被害者に対して、「あなたの考えすぎだ」「〇〇さん(加害者)には悪気はない」「あまり騒ぐと会社に居づらくなる」などと、相談したハラスメントの被害者に更に与える精神的な苦痛)
研修を通じて、全従業員が被害者等の不利益取り扱いの禁止や、プライバシー保護の重要性を共有することで、誰もが安心して相談したり声を上げられる、風通しの良い職場風土が醸成され、再発防止につながるのです。
ハラスメント研修を無駄にしない!効果を最大化する3つのステップ
 
せっかくコストと時間をかけて研修を実施しても「他人事のようで頭に入らなかった」「内容をほとんど覚えていない」という結果に終わっては意味がありません。
研修を真に効果的なものにするためには、戦略的なアプローチが必要です。ここでは、失敗しないための3つのステップをご紹介します。
ステップ1.対象者の役割に応じて内容を設計する
全従業員に同じ内容の研修を行うだけでは、十分な効果は期待できません。それぞれの立場や役割に応じた、最適なプログラムを設計することが重要です。
| 全従業員向け研修 | 全社で共有すべき共通認識の土台を築く ・それぞれのハラスメントについての基礎知識 ・それぞれのハラスメントになる時・ならない時の境界を理解する ・自社の相談窓口の周知 ・誰もが加害者にも被害者にもなり得るという当事者意識の醸成 など | 
| 管理職向け研修 | 加害者にならないことと、現場での責任を学ぶ ・管理職が、加害者になりやすい立ち位置にいることの認識 ・部下への指導とパワハラの明確な境界線と、パワハラにならない指導の仕方 ・セクハラ・マタハラのハラスメントになる時・ならない時の境界線 ・部下からの相談への具体的な対応方法(傾聴のスキル、初期対応の手順) ・インシデント(事故につながりうる問題)発生時の会社への報告義務 など | 
研修の効果は「誰に、何を学んでもらうか」という最初の設計段階で、その成否の9割が決まると言っても過言ではありません。
ステップ2.実施方法のメリット・デメリットを理解して選ぶ
研修の実施方法には一長一短があり、自社の状況に合わせて最適なものを選択する必要があります。
| 研修種別 | 長所 | 短所 | 
|---|---|---|
| 外部研修 | ・最新の法改正や他社の事例に精通した専門家から、客観的で質の高い知識を得られる ・従業員が、普段は言いづらい課題や疑問を相談しやすい | ・コストや時間の問題がある | 
| 社内研修 | ・自社の文化や具体的な事例に即した、現実に近い内容を展開できる | ・講師役の適任が見つからないことがある ・専門性に偏りがあることがある | 
| eラーニング・動画教材 | ・時間や場所を選ばずに全従業員へ均一な学習機会を提供できる | ・インプットで終わらせず、受講者の当事者意識をいかに高めるかという工夫が鍵になる | 
このように、どの実施方法にも一長一短があります。
自社の従業員規模や予算、そして研修で最も達成したい目的を明確にした上で、最適な手段を選択することが大切です。
ステップ3:「自分ごと化」を促す工夫を取り入れる
最も避けたいのは、法律や定義をただ読み上げるだけの退屈な座学研修です。
受講者が「これは自分の職場の話だ」と感じ、自らの言動を振り返るきっかけを持てなければ、行動変容にはつながりません。
そのためには、体験や対話を取り入れ、受講者自身に考えてもらう工夫が必要です。
| 工夫例 | 効果 | 
|---|---|
| ドラマ仕立ての映像教材 | 登場人物に感情移入し、問題を直感的に理解できる | 
| ケーススタディとディスカッション | ・判断が難しいグレーゾーンの事例について、グループで意見を交換させる ・他者の多様な視点に触れることで、自身の価値観の偏りに気づける | 
知識として「理解している」だけでなく、職場で「実際に行動できる」ようになるために、研修は欠かせません。
体験・思考・対話を通じてこそ、ハラスメントへの理解は深まり、やがて会社全体の文化として根付いていきます。
さらに効果を持続させるには計画的な実施が必要であり、対象は全社員、頻度は年1回を基本に、管理職には追加研修を行なうと実効性が高まります。
ハラスメント研修は会社と社員を守る「攻めの経営戦略」
ハラスメント研修は、単なる義務対応やリスク回避だけのものではありません。
従業員が安心して能力を発揮できる職場をつくり、企業の信頼や成長を支える「攻めの経営戦略」として大きな役割を果たします。
とはいえ、「研修の必要性は理解したが、どのように取り組めばよいのか分からない」と悩む企業も多いのが実情です。
そうした課題にこそ、実践的な教材を活用した研修が効果を発揮します。
アスパクリエイトの研修教材なら、リアルな事例を通じて知識を「行動」に変えることが可能。自社に合わせてDVD・データ・オンライン配信から選べるので、すぐに導入できます。
【受講者の声】
(管理職・40代)
「ドラマのリアルな叱責シーンを見て、『自分もこんなふうに叱責することがあるかも』と冷や汗が出ました。パワハラの判断基準が理解でき、どんな場合がアウトなのかを具体的に学べたので、明日からの指導に活かそうと思います。」
(一般社員・20代)
「正直、ハラスメントは他人事だと思っていましたが、動画を視聴する中で『これ、前の部署で聞いたことがある…』と自分ごととして理解することができました。もしこうしたことに直面した場合は、会社に相談して良いことが分かり安心できました。」
官公庁や大手企業にも選ばれている確かな効果を、ぜひお試しください。
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